2011年07月

鵺伝説#055>林月(りんげつ)

鵺伝説#055>林月(りんげつ)


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翔にとって母である雅子は幼い頃から自慢だった。
母親は歳をとるごとにキレイになる。
30になり40も間近になるが、
肉体は引き締まり、センスもアップする。
それで、何人もの女友達は、翔の家に来るのを嫌がりだし、
男の子は用もないのに家に上がりたがる。
母親が若さを保っている秘訣は、子供の時からつづけている空手の
せいもある。
心身を鍛えるにはうってつけらしい。
東大理工系だから頭もいいし、
ITプログラムの知識では翔など
雅子の足元にも及ばない


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そんな母親が、最近発病した。
心の病気で厄介なノンストレスシンドローム。
人は適度のストレスを必要とする。
母親には心配事、悩み事がまるでない。
日常生活でそれがどのように具体的症状を引き起こすかというと、
時と場所を選ばすに堕ちる。
コーヒーカップを持ち上げて飲もうとした瞬間
スーと意識が無くなる。
家でも外でもおなじだ。
歩きながら発作がおきても瞬間的だから
本人は認識しない。
今の医学ではそれが最高のサンプルになる。
老化とかガンとかのメカニズム解明には、
ここからアプローチをしたほうが近道らしい
欲がないとストレスは生まれない。
母親にそれが欠けていた。

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母を訪ねて青森へ








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酒癖の悪い親父に愛想を尽かした母は、
俺を置いて家を出て行った。
定職もない親父。
俺は祖父母の元で育った。


そうこうするうち
大学も卒業でき就職も決まったので
産みの母を訪ね青森へと向かった。

青森駅は雪。
母はここで流行らないスナックを
営んでいるらしい。
近所で教えられた
小さなスナックのドアを開けた。
客は誰も居ない。
止まり木の向こうで生気のない
作り笑顔を向けた女が
と愛想を振りまいている。
「いらっしゃい」


(母だ。)

すぐ解ったが、彼女は俺が誰か
解らないようだ。
黙って麦酒(ビール)を注文する。


親父も、母親も。
恨んで、恨んで、今まで生きて来た。
だけど、目の前にいる、やつれた母を見ていると
此までの人生をが思われ彼女が惨めにみえた。
カラオケで歌いながら涙を流した。
いつまで経っても他の客は入って来ない。
頭の芯が醒めて酔えないでいる。
その涙を勘違いしたらしい。
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凌霄花(ノウゼンカズラ)・・・母が好きな花

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(※現在閉鎖中)



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文中の写真と凌霄花とはなんの関係もありません





凌霄花・・・ノウゼンカズラ・・・母が好きな花


母親は一足先に家に戻った。
まぁ・・・いろいろ買い物とか準備があるんだろう。
俺ももうすぐ行く。
正月は妹と3人で過ごすよ。
一昨日、病院に行こうと思ったがやっぱりやってなかった。

旅行は変な感じだった。
あまりうまく表現できない。
だけど、母親が他の男と
セックスしていることを考えておかしくなった。
実際、俺が大学受験のときにしていたと思う。
そのことを考えると父親としていたことも考えてしまって、
いつも以上にグチャグチャになりながら
セックスした。
でも2人で露天風呂に入ってるとき
適度に頭がぼんやりして、何も考えずに済み、
楽だった。


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