母を訪ねて青森へ
酒癖の悪い親父に愛想を尽かした母は、
俺を置いて家を出て行った。
定職もない親父。
俺は祖父母の元で育った。
そうこうするうち
大学も卒業でき就職も決まったので
産みの母を訪ね青森へと向かった。
青森駅は雪。
母はここで流行らないスナックを
営んでいるらしい。
近所で教えられた
小さなスナックのドアを開けた。
客は誰も居ない。
止まり木の向こうで生気のない
作り笑顔を向けた女が
と愛想を振りまいている。
「いらっしゃい」
(母だ。)
すぐ解ったが、彼女は俺が誰か
解らないようだ。
黙って麦酒(ビール)を注文する。
親父も、母親も。
恨んで、恨んで、今まで生きて来た。
だけど、目の前にいる、やつれた母を見ていると
此までの人生をが思われ彼女が惨めにみえた。
カラオケで歌いながら涙を流した。
いつまで経っても他の客は入って来ない。
頭の芯が醒めて酔えないでいる。
その涙を勘違いしたらしい。
俺の横に腰掛けたスナックのママ。
つまり産みの母が媚をうり・・・
オンナとして迫ってきた。
「雪の夜の一人寝ってね、すごく淋しいのよ。」
「だから・・・ね?」
「あまり持ち合わせがないんだけど?」
「心配しないで・・・。」
彼女はドアの鍵を掛け、灯りを消すと
二階への狭い階段を登るように仕向けた。
そしてその夜。
俺は実の母を抱いた。
途中で俺は一度、胃の中の物を、全部吐いた。
呑み過ぎで頭がガンガンする。
しかし。
俺は母を何度も上りつめさせ
苛み続けていた。
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