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林 月 鵺伝説

鵺#55 林月
ある産科で真珠のようにかわいい女の子が生まれた。
夫はまだ若く20歳そこそこ
産婦であるその妻は見た目5歳から6歳年長のようだ。

驚くことにカルテには妻は20歳夫より年長だ記載されていた。
がナースには夫婦というより母親とその息子に思えて・・・・・。
息子と一緒


翔にとって母親の雅子は幼い頃から自慢だった。
母親は歳をとるごとにキレイになる。
30になり40も間近になるが、
肉体は引き締まり、センスもアップする。
それで、何人もの女友達は、翔の家に来るのを嫌がりだし、
男の子は用もないのに家に上がりたがる。
母親が若さを保っている秘訣は、子供の時からつづけている空手の
せいもある。
心身を鍛えるにはうってつけらしい。
東大理工系だから頭もいいし、
ITプログラムの知識では翔など
雅子の足元にも及ばない


そんな母親が、最近発病した。
心の病気で厄介なノンストレスシンドローム。
人は適度のストレスを必要とする。
母親には心配事、悩み事がまるでない。
日常生活でそれがどのように具体的症状を引き起こすかというと、
時と場所を選ばすに堕ちる。
コーヒーカップを持ち上げて飲もうとした瞬間
スーと意識が無くなる。
家でも外でもおなじだ。
歩きながら発作がおきても瞬間的だから
本人は認識しない。
今の医学ではそれが最高のサンプルになる。
老化とかガンとかのメカニズム解明には、
ここからアプローチをしたほうが近道らしい
欲がないとストレスは生まれない。
母親にそれが欠けていた。
さすがに実の息子だけあって、息子は母親の病に気がついた。
自慢の母をあれこれ漠然と考えると、母は幸せ過ぎて
不幸だと思った。
ある意味、的を得た診断だ。
母が大好きだから、もっと幸せにしてやろうと
母親を悩ませることが自分ができることなので
愛を告白してみようと決めた。
酷く適当な論法だが、所詮男女の性愛のスタートは
案外こんなものかも知れない
息子は一旦そう思うとそう言えばずっと前からと思い込む。
母親への妄想が膨らみ、母親をオナペットとして頭の中で
飼い出した。
最初の母の幸せをとの思いは妙な方向へ
歪んでいく。
母親には出来のいい息子が、
近頃、物分りの悪い息子になった気がした。
いくら物分りが悪いと言っても
「愛しちゃった。」
とまで言われ、面食らってしまう。
戸惑うが、思春期の反抗期をよりはいいかも知れない。
と、暢気に思ったりする。

息子は母親に多額の小使いをせびり、夜遊びするようになり
成績も落とした。
その程度で済ませられたらよかったが、
女の子まで孕ませてしまう。
その事後処理も母親に任せ、ケロッとしている。
「まぁ当分、あなたの好きにしなさい」
息子のこの程度のワルでは、母親の気を惹けないらしい

母親のカラダを狙っているのは、息子の息子だけではなかった。
三人組の少年がワザと母の車に接触させ、
一人が車の中に乗り込んできて乱暴しようとしたらしい。
相手が悪すぎた。
それで母は警察へ呼ばれ調書を取られた。
「過剰防衛」じゃないか?
と。
確かに少年の腕を二本折ってしまったから
そう言われてもしようがない。
それはたいしたことでないのだが、
どうも、ワルの一人が息子の中学の同窓生だったらしく、
母親は息子の差し金では?
と疑ったようだ

天は息子に味方した。
ある日、母の右手が上に上がらなくなった。
それは四十肩かなにかでどうこうないが、
更年期症がはじまり母親のノンストレス症候群が、
それで完治した。
女性ホルモンの微調整は月が司る。
えらいものを味方にした息子の想いは、
母親の気持ちを射抜き、隙ができて
留まり定着したようだ。
息子の想いを受け流せなくなる。
気にも止めないことが気になりだした
母親の決断も潔かった。
694.jpg
夜の軽井沢。

別荘の灯りを消した部屋の中で、月明かりを浴び
窓際に立った母親は、息子の視線をうけながら
着衣を脱いだ。
思い描いていた母の裸身と、実物の裸体のあまりの違いに
息子は眼が眩んだ。
圧倒的な存在感と、息をしているビーナスが生まれたような幻惑に
包まれる。
膝がガクガク震えるほど母の裸身はキレイに見えた。
ビーナスのオーラに包まれた息子も若いKnightになったような
そんな気にさせられて母親を胸に抱き寄せる
妥協をゆるさない母の性格は息子との行為でもそうで、
最初から最良に包まれようとする。
快楽に従順で、お互いが高まることへの熱中度も
半端じゃなかった。
母子の初夜はいつ果てるともなく続く。
肉の快楽が極まると、ふたりは精神の快楽も高めようとなるから
孕みたいと願った。
その思いは行為を更に過激に、
非情な月はこの親子の願いを叶えてしまう。

その年の終わり頃。
ある産科で玉のような女の子が生まれた。
夫はまだ若く20歳そこそこ、妻は見た目は5,6歳上のようだが
ナースは不思議に思える事あった。
カルテには夫婦で妻は20歳夫より年上だったが
夫婦というより母親と息子に思えて仕方が無いのだ。

もちろん誰もその夫婦が
ひっそりと暮らす翔と雅子だとは知る由も無い。

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