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あゆ‐ 朝霧

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昔、いつまでも幼い感じのする母親を、
力づくで犯してしまった跡取り息子がいた
当の母親は、それからすぐ訳も告げず、
実家へ里帰りしてから、
一向に帰ってくる気配はなかった
おろおろした旅籠の主は
その息子に、
「母親を連れ戻すように。」
と言い含め三浦半島にある
母の実家に向かわせた

その旅籠は、赤橋の袂にあって、今は蕎麦屋をやっている
ひとの噂だと今の初老の主は、実の母と息子との間に産まれた
こどもだろうと、陰口を言われていて、あの宿場三美人と言われた
若くて美しい母親を、知った風に言うのが、酒の肴になっていた

母親の名をあゆと言った
あゆは自分を連れ戻すため尋ねてきた息子と、それから夫婦の
ような生活を営んでいたが、
一度だけ一人でこの町を訪れた
早朝、古い町並みは濃い朝霧に沈んでいて、
佇むあゆの耳に聞こえて・・・・・

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